『きんいろ暮らしとパリ』
移り変わるニッポンの季節を感じながら、
憧れのパリに想い馳せる―
日々の暮らしにパリのエッセンスをちょっぴりプラスして、
気取らずシンプルに、心豊かに暮らす日々。
そんな、小さなしあわせのカケラを拾い集めました。
パリに憧れて
長年、パリに憧れていました。
そのきっかけは、三枝 克之さんの『旅のカケラ―パリ・コラージュ』という本です。
本屋で見つけて買って以来、何度も何度も読みました。
この本には、素敵なパリの写真が散りばめられていて、眺めているだけで、幸せな気分になったものです。
なぜ、そんなにパリに憧れているのかもよくわかりませんが、いつしか、わたしにとってパリは「いつか行ってみたい街 No.1」になっていました。
その後、フランス人とお仕事する機会や、パリに関連する仕事に、多少なりとも携わってきたものの、実際にパリに行くことはありませんでした。
パリは本当に、遠い国。
日常の暮らしを大切にする
「パリは、今この瞬間からでも楽しめる」
だんだんそういう風にも、思えてきました。
パリに行けないことを憂う毎日を過ごすより、今いる場所をパリだと思って暮らしてみる。
ここがパリだとしたら、本当にやりたいことは何だろう?
そう考えながら、実際にやってみたいことをやってみると、憧れの先にあったものが見えてきます。
今いる場所で、"今この瞬間"を味わう
旅をする醍醐味は、その国や都市の空気や音や匂いを、直接感じることができるところ。
でも、それ以外のことは案外、今いる場所でもできるものです。
実際、パリでしてみたいことを書き出してみると、エッフェル塔や、凱旋門などのパリの観光地を巡ること以外は、日本に住んでいてもできそうなことばかり。
- 可愛い雑貨や文房具を買う
- おしゃれな服を買う
- 美術館巡りをする
- 街角でカフェをする
- フランス料理を食べる
- 美味しいパン屋でパンを食べる
- 有名なショコラティエでチョコレートを買う
- チーズを買ってみる
- ワインを飲む
- ラデュレでマカロンを食べる
etc…
日本には、フランス料理を楽しめるお店がいくつもあります。高級店や気軽に楽しめるビストロなど、さまざまな雰囲気でフランス料理を味わえます。
チーズやワインも、フランスほど種類が豊富でなくとも、百貨店や専門店に行けば買うことができます。
可愛い文房具だって、インターネットが普及した現代では、オンラインショップなどで気軽に購入することができます。
美術館巡りも、毎月あちこで展覧会が行われているので、日本にいながらでもホンモノの西洋絵画に触れる機会は多くあります。
パリに行ったときだけではなく、日々の暮らしの中でパリを楽しむことができます。
日本にいながら暮らしの中で、パリでやってみたいと思っていたことをやってみると、憧れの先にあったものがくっきりと見えてきます。
例えば、晩酌やアペリティーボするのに、いろんなチーズやワイン、パンを買ってみる。
確かに、おしゃれで、楽しい。
でも、実際やり続けてみると、チーズやワイン、パンなどをたしなむその先の願いは、ただ「パートナーと晩酌しながら楽しくおしゃべりしたい」というシンプルな願いだったりするのです。
晩酌でチーズやワイン、パンで「オシャレに」楽しむは、+α。
そう考えると「楽しくおしゃべりしたい」を実現するためには、飲み物だって、とりわけワインなどのお酒である必要もないのです。
炭酸水、コーヒー、紅茶、ハーブティー、ジュース、究極、水でもいいのです。
それよりも、楽しくおしゃべりしたいその相手と、育もうという気持ちがあるのかどうか、ということのほうが大切だったりします。
そういうことに気付くと、もっと自由になり、普段の生活を楽しむ幅が広がっていきます。
「今この瞬間を味わう」ということは、そういうことなのだと実感します。
パリへの憧れを通して自分の本当の願いとは?
パリのインテリアや、シックでヨーロピアンな雰囲気にも憧れますが、実際生活してみると、シンプルなほうが、自分は心地いいと感じることを知ります。
できるだけモノは少ないほうが、掃除もしやすく、清潔に暮らせるからです。
自分でも、じぶんの好みがわかっていなかったのか…。
もちろん、シックでヨーロピアンな雰囲気は好きなので、部屋の香りやミニブーケなどの花を買うなど、自分が簡単に楽しめる範囲で、その要素を取り入れたりもします。
そして、年数回行く海外旅行や、たまに過ごすホテルで、ラグジュアリーな雰囲気を楽しむこともあります。
このように、憧れのパリの要素を暮らしの中に取り入れてみることで、今あるものの魅力に気づけることがたくさんあります。
その中でも、美術館巡りは、自分が本当に好きなことだと実感しています。
絵画を見ることで、魂が揺さぶられます。感性を磨くというより、心に栄養を入れているイメージです。感性はその後についてくるものです。
巨匠の絵には底知れないパワーがあります。画家が達した境地に自分が触れることで、自分の魂が震えるのです。共鳴するという感じでしょうか。美術館に足を運ぶたびに何度もそれを味わいました。
絵を観に行く前に、しっかり絵の知識を入れていくこともありますが、実際に美術館に行って本物の絵を前にすると、知識や、理屈を超えた何かが、そこにはあるのです。
そして、日本で普段から美術館巡りを楽しんでいるからこそ、パリに行ったときにそこでしか味わえない絵や彫刻などに集中することができるのかもしれません。
もしかしたら、それがわたしにとってのパリでしか味わえない醍醐味なのかもしれません。
そして、一番憧れているのは、パリの人の考え方や生き方。
パリジェンヌのライフスタイルなどが書かれた本を読むと、日本人にはないパリの人の視点や、もっと自由に生きるヒントが得られます。
そして、改めて日本人の魅力にも、気づくことができます。
その中から、自分の好みの生き方や考え方を少しずつ取り入れ、もっと自由なわたしでいたいと願っています。
そして、いつの日か、パリの景色や、空気、音や匂いを、とりこぼしなく存分に楽しめる日が来るのを楽しみにしています。
パリを追いかけて気づいた日本の魅力
年齢を重ねるにつれ、日本で暮らす楽しさを、昔以上に感じるようになりました。
例えば、かつて日本で使われていた月の満ち欠けや、四季などの自然の移ろいの中で「とき」を感じられる旧暦にも、魅力を感じます。
旧暦をやんわりと取り入れながら暮らしてみると、まるで自然と調和していくように、リズムが整い始めます。
そして、私たち人間は、自然の中で「生かされている」ということにも気づきます。
自分が宇宙の一部だと感じることで、おおらかな気持ちでいられます。
「目の前の当たり前」にも、感謝の気持ちが、込み上げてきます。
かつてジパングと呼ばれた日本の魅力を再発見しながら、きんいろに輝く毎日を過ごしたいという願いを込めて「きんいろ暮らしとパリ」というタイトルにしました。
シンプルで上質な暮らし、ノートや手帳、海外旅行について綴っていきます。